レンタカー許可を法人で取得する際には適切な事業目的が必要

近年では非常に多くの方からの注目を集めているレンタカー許可。
自動車整備工場での修理代車のレンタカー化、自動車販売店での試乗車を兼ねたレンタカー事業への参入など既存事業との相性がとても良いといった理由から許可取得をされる会社がとても増えています。
レンタカー許可は法人はもとより個人の方でも取得が可能で、一度取得すれば更新制度は無く半永久的な許可であることも人気の要因でしょう。
許可を取得するための要件も比較的容易で、添付書面等も簡略化されておりますから非常に魅力的な許可と言えますが、法人にて許可を受ける際には気に留めておかなければならないことがあります。
それが、定款の事業目的にレンタカー事業に関する定めがあるか否か。
今回は、レンタカー許可申請時点における定款の事業目的について記載していこうと思います。
レンタカー許可申請時点において適切な事業目的は必要か??
レンタカー許可は道路運送法の第80条に定められており、この内容や取扱いを明確に示した公示などを基準として各都道府県に設置されている運輸支局(一部呼称が異なる)にて審査が行われ、運輸支局長の権限にて決裁がなされます。
しかし、これらの法令や公示等にはレンタカー許可審査における定款の事業目的に関する記述はありません。
このことから、各運輸支局での独自の見解や解釈がルールとなっており、ある県では定めがなくとも許可が出るのに対し、ある県では申請自体を受理してもらえないなどその判断が非常にマチマチであり、法人としての申請を検討する際には事前に確認すべき事項であると言えます。
曖昧なルールであるが故、その取扱いが今後変わることを懸念して弊所にて把握している全国の取り扱い情報を開示することは致しませんが、概ね以下の3つに取り扱いが分かれると考えています。
- (1)事業目的の定めが無いと申請自体を受理しない
- (2)申請は受理するが許可決裁までに事業目的を定め、登記簿を追加提出
- (3)許可が出た後に適切に事業目的を定めるよう口頭による指導
上記(2)や(3)に該当するケースであれば、現状のまま申請は受理されますから審査期間の約1ヶ月を利用して目的変更手続きを進めるなんてこともできますが、(1)に該当するケースですとその分の時間を余計に見なくてはなりません。
同じレンタカー許可であっても、これだけ取扱いに違いがありますから、注意すべき事項です。
事業目的は定款に定めなくてはならない絶対的記載事項
レンタカー許可審査の根拠に、定款の事業目的に関する規定がないことは前述のとおり。
それでは何故、レンタカー許可申請の際に、定款の変更といった直接的に関係の無いことまで干渉されてしまうのでしょうか。
それは会社法という法律にあります。
(ちなみに会社法で定められているのは株式会社(既存の有限会社を含む)と合同会社などを含めた持分会社です)
会社法の第27条では会社を立ちあげる際の定款に記載しなくてはならない内容を定めておりますが、その一つがこの事業目的です。
事業目的はその会社が運営する事業について、定款に定めなければ事業を運営してはならないとしているわけです。
これを理由に前述のような取り扱いがされているわけです。
事業を運営する前までに事業目的を定めることではダメなのか?
会社法のルールに則って、許可審査の段階にて事業目的の内容を確認しているのだとすれば、許可を受け実際にレンタカー事業を運営するまでに目的変更をすれば良いのではないかと考える方もいらっしゃることでしょう。
そういった考え方も誤りではないと我々も考えます。
事実、「許可が出た後に適切に事業目的を定めるよう口頭による指導」といった方法を選択しているケースもあるわけですから、必ずしも許可申請の前に定めておかなくてはいけないと強制されるものでもないように感じます。
しかし、窓口にてその旨を口述したとしても、担当者レベルでの基準の変更は容易ではありません。
急ぎ、許可を受けたい場合など、こういった事情を踏まえて是非とも準備に取り掛かっていただきたいと考えます。
もっとも、レンタカー許可以外の許認可に目を向けてみても、許可申請時点において事業目的への記載を強制している許認可は非常に多いです。
会社を立ち上げる際、定款の変更を行う際など、近い将来にレンタカー事業を運営したいとお考えであれば、そのタイミングで一緒に定めておくことも良いかもしれません。
